『アトミック・シンキング: 書いて考える、ノートと思考の整理術』
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ISBN:B0B8XBRW93
第1部アトミックシンキングとはどういうものか
第2部アトミックなノートの書き方
第3部アトミックノートをまとめるトピックノート
書いて思考を整理する。デジタルノートを使ったこれからの時代の知識と整理の方法論。
Zettelkasten(ツェッテルカステン)、Evergreen notes(エバーグリーンノート)をベースにした、自分の考えをノートにまとめ、思考を整理する方法をまとめた一冊。
AIの登場に伴って求められるスキルが大きく変化することが予測される時代。そんな時代に必要なのは、時代の変化によって変わることがない「自分で考える力」を身に付けること。
「アトミック・シンキング」は、普遍的で汎用的な「自分で考える力」を育むための方法です。
▼目次
■はじめに
アトミック・シンキングの「アトミック」とはどういうものなのか
アトミック・シンキングの基本の流れ
■第一部 アトミックシンキングとはどういうものか
アトミック・シンキングは「書いて考える」思考の整理法
書くことを通じて思考を拡張する第二の脳を作る
アトミック・シンキングはあらゆるスキルの土台となるスキル
書いて考えることを習慣にする
書くことができないのは経験が足りないだけ
複雑なことは分解してひとつひとつ覚えていく
頭の中のもやもやを文字にするフリーライティング
毎日の出来事を文章にした日記を書く
日記では事実とそれ以外を分ける
鍵があると本の内容を思い出せる
自分が面白いと思ったことを自分のことばでまとめる「読書メモ」
三つの練習のそれぞれの目的をきちんと理解する
コピペしないで必ず自分のことばで書く
失敗したか考えず「またやればいい」という気持ちを持つ
一つ一つの文章やノートを丁寧に扱う
■第二部 アトミックなノートの書き方
庭の手入れをするように自分が書いた文章も手入れする
ノート手入れのコツはノートを「アトミック」にすること
書いたノートはアトミックにすることで理解が進みアイデアが広がる
一度書いたことをもう一回書くことは簡単にできる
アトミックノートとレゴブロックの関係性
ノートはできるだけ抽象的に書く
ノートにタイトルを付けられるかどうかが「ひとつのことかどうか」の基準
ノートは「書いて終わり」ではなく常に改善すべきもの
■第三部 アトミックノートをまとめるトピックノート
ノートを組み合わせるためにはアトミックであることが重要
ノートはリンクで整理する
ノート同士のリンクが使える代表的なノートツール
デジタルなノートは「同時に複数の場所に存在できる」
トピックノートによる整理と検索、フォルダ、タグでの整理の違い
トピックノートの効果は並べるだけで整理できること
トピックノートに並べたノートからつながりを見つける
アトミックなノートとトピックノートは一対一ではない
トピックノートに分類することで「考えが整理される」
すべての知識はリンクでつながる
偏ったトピックノートこそが自分自身の個性になる
まとめ:一度にすべてを完璧にしようとしない
■■■ はじめに ■■■
やらないといけないことがいっぱいで忙しい。やるべきことを整理しようにも、そもそも今自分はなにをやらないといけないのかがわからない。
忙しくて余裕がないときほど、自分は今なにが出来て、なにが出来ないのかがわかりません。なにがわかっていて、なにがわからないのかがわからないのでなにもできず、ますます忙しくなってしまうという悪循環に陥りがちです。
こういったときに有効な方法が「書く」ことです。忙しくて余裕がないときほど、書くことが重要です。書くことを通じて、今の自分がわかること、わからないことを整理していきます。書いて考えるという行為は、頭の中だけで「考える」ことと違い、自分が書いたものを「見ながら」考えることが出来るようになります。頭の中だけで考えるということと、考えを書き出して「見ながら」考えることの違いは、おそらくみなさんが想像されるよりもはるかに大きなものです。
わかりやすいのが「将棋」です。将棋というゲームには、目隠し将棋、脳内将棋と呼ばれる、将棋盤と駒を使わずに、自分が動かした駒と場所を声に出して、将棋盤なしで頭の中だけで将棋を指すという遊び方があります。
実際に目隠し将棋をやってみるとよくわかるのですが、ほとんどの人はうまく将棋を指せるかどうか以前に、自分の駒がどこにあるかすらまともにおぼえていられません。
頭の中だけで「考える」というのは、この目隠し将棋を指している状態と同じようなものです。自分自身は一生懸命なにかを考えているつもりでも、実際は自分の駒がどこにあるのかを思い出すだけで精いっぱいな状態。頭の中だけで考え事をするというのは、そんな状態で「次の一手」を考えているようなものなのです。
だからこそ「書く」ことが必要なのです。将棋の駒を目の前に並べるように、自分が考えていることを目の前に書いて、並べてあげる。まずは頭に浮かぶものをすべて書きだして、書いたものを見ながら考える。
書いて考えると、書いたものが残ります。すると、残った「考え」を元にして、考えたもの同士を並べたり、組み合わせたりしてさらに発展させることが出来るようになります。書いて考えることで頭を整理すると同時に、書いて考えたものが新しいアイデアを生み出すための基盤にもなるのです。
本書ではまず、書くことの重要性と、具体的に「書く」ためにはどうすればいいかについて、実例を交えながら考えます。普段書くことに慣れていない人が、どのようなことをして書くことに慣れていけばいいのか。そういった、書くことに慣れるための練習方法も一緒に紹介します。
次に、書いて考えたものを「アトミック」にすることで、書いた内容をいつまでも使える自分の「資産」としていく方法について考えていきます。本書のタイトルにも含まれる「アトミック」にすることを通じて、書いた考えたことを整理します。さらに、整理した考えを「書くための素材」「アイデアの素材」として練り上げていくところまで考えていきます。
そして最後に、こうやって整理した「書くための素材」「アイデアの素材」をいかに活用していくのか。集めた素材いかに調理していくかについて考えます。
この段階にまで到達すると、今まで自分が書いて考えてきたものたちが自分の「第二の脳」と呼べる存在になってきます。なにか「書く」ことが必要になったとき。なにか「アイデア」が必要になったとき。こういうときに「第二の脳」が活躍します。
頭の中のことを「書く」ことで「目隠し将棋」から「普通の将棋」にできるというたとえ話を紹介しましたが、このときは「今考えたこと」だけを書いて考えています。
では「今考えたこと」だけでなく「今まで考えてきたこと」も書いてあるノートがあれば、さらに「考える」ことがはかどるのではないでしょうか?
先ほどの「第二の脳」というのは、こういう存在です。自分一人の頭の中だけで、全部のものごとを同時に考えることは難しい。だから書いて考える。書いて考えたものすべてを必要なだけ、必要に応じて取り出せるとしたら、今まで考えてきたことすべてを目隠し将棋ではない状態で考えることが出来るようになる。
第二の脳というのは「覚えておく」ためのものではなく「考えることを拡張する」存在です。コンピュータに例えるならば、覚えておける量を増やしてくれるストレージのようなものではなく、一度に処理できる量(考えることが出来る量)を増やしてくれるメモリのようなものです。
もちろん、自分が書いたことや考えたことを、すべて完璧に、自由自在になんでも取り出せるというのは理想論です。完全無欠の絶対の方法などというものはありません。
ですが、書いたものをそのまま残しておくことに比べ、はるかに上手に考えを整理できる方法が存在します。それが、本書のタイトルにも含まれている「アトミック」という概念です。この概念をノートの整理、思考の整理に応用することで、自分が作ったノートは「第二の脳」に大きく近付きます。
そのためにも、まずは「アトミックとはなんなのか」についての理解が必要です。まずは最初に、この「アトミックとはなんなのか」についての話から始めていきましょう。
□ アトミック・シンキングの「アトミック」とはどういうものなのか
本書のタイトルにもなっているアトミック・シンキングの「アトミック」は、物理や化学の分野で出てくる原子(atom)が由来の概念です。三省堂国語辞典第八版によると、原子は「その元素の特性を失わないで到達しうる、いちばん小さい粒子」と説明されています。
この「原子」を意味することば「アトム」を形容詞にしたものが「アトミック」です。ジーニアス英和大辞典では「アトミック(atomic)」の訳語として「極小の、微小の」ということばも使われています。
本書ではアイデアやノート、意見などを「アトミック」にして整理……